癌になってもアイドルオタクはできる! そして

 お久しぶりです。2月に最初の投稿をして以来途中経過を全く更新しておりませんでした。どうもこう、継続するということが苦手で、興味があるタイミングに興味があることしかできません。ずっとそんな人生だな。

 

 さて、表題の件で本日はブログを書いてみようかなと思います。まず結論から、癌になっても現場には行けました。大病を患って「オタクできなくなっちゃうんじゃないかな。私って、これから先どうすればいいの!?」なんて思ってるオタクもいるかもしれないので、癌になってもオタクはできる(なお……)ということを示しておこうと思いブログを書きます。※治療の過程はところどころ記載しますが詳述はしません。時系列も適当です。悪しからず。同じ病気にかかっていて治療が気になるという方は直接聞いてください。

 

 

 2021年2月、先のブログでも示した通り、子宮頸がんの手術を受けました。術後の経過が思わしくなく数週間ほど加療を受け3月末からEP療法(本来は肺がんに使われる抗がん剤ですが、わたしが小細胞がんというという肺がんに多く見られるがんにかかったため、子宮頸がんでも適用になりました)という化学療法を受けました。大体1か月に一度1週間ほど入院し点滴を受けます。副作用が強い薬で退院後5日はベッドから動くだけでも吐き気が上ってきて億劫になります。脱毛もあるのでウィッグが手放せなくなります。再発がわかり治療が停止する7月まで計4回実施しました。

 

 この経過の中で実施された担当現場は2つ、シアタークリエと外部舞台(東京/大阪)です。今回、治療のスケジュールが運良く現場に被らずなんとか現場「には」参加することができました。しかし発病する前に通っていたドリームボーイズなどに比べるとその回数は減っています。体力も落ちてるので座って1公演見るだけでもとんでもない疲労感に襲われます。

 

 この2回のうち、まず失敗したと思ったのがシアタークリエ公演です。担当ユニットのクリエ期間は幸い自身の副作用が最も少なく元気であろうと思われたタイミングでした。そのため、自分の体力の減りやこれまでとちがう状態であることを甘くみたわたしは公演期間が始まる前に担当ユニットのQRチケット(界隈外の人にわかりやすく伝えると当日入場ゲートでQRコードをピッとすると座席が印字された紙が出てくるというものです。当日開演前迄席がわからない超不親切設計です)を買い揃えてしまったのです。

 

 そして当日、浮き足立ちながら現場に向かったのですが初日のQRの結果は全て惨敗、22列まである会場で20〜列しか引けず異常なストレスに襲われました。開演前にイライラしながら走り回ることでなんとか納得……妥協……できる席で見ることはできたのですがドッと疲れてしまいました。開演前の苛立ちと疲れで公演内容はあまり覚えてませんが、そのつまらなさに友人が初日昼を見たあと夜を売り飛ばして帰ったことは覚えています。

 

 そんなこんなでイラつきながら見た公演の後、自身の体力のなさも相まって次の日の休演日は発熱し1日寝込んでしまいました。明日以降も似たような席しか出ないのではないか、本調子ではないのに無理して次週の治療に差し支えるのでは、そのような思いがぐるぐると巡ります。その後の公演を全て手放すことに決めました。癌の人間にQRのストレスはすごい。さらに、友人のツイートを引用しますが、わたしにとってこのような感想もありました。

 

 目があってもときめかない。内容もつまらないうえにストレスフル。もうオタクをやめて良いのでは? 急速にイライラが加速し担当にも興味を失いはじめたのはこの頃です。

 

 しかし悲劇(?)は一度では終わりません。6月には担当の外部舞台現場がありました。外部舞台はなんと! QRではないのです! 担当新規のわたしにとって、はじめての紙チケット現場でした。初日こそ入院とかぶっていたとはいえ、後半日程は入りたい席が出れば買ってしまう自分がいたのです……。私よりも多く最前に入ってる友人もいるので大した数ではないですが、病人にしてはよくやっているなとどこか他人事のように見ていました。内容のつまらなさは異常でしたが、先に座席がわかっているというだけでなぜこうも買ってしまうのか、担当本人を見てももうほとんど感情は湧いてきません。悲しい。でも謎の執着により買ったチケットのことだけはやめられません。

 

 後の祭りですが、この現場が終わった翌日の検査で再発が見つかり、もう少し早くわかっていれば自分で入らず売り飛ばすこともできたのに……という思いでいっぱいです。

 

 

 以上、ほぼ懺悔のような内容になってしまいましたが癌になっても(一応)オタクはできるみたいです。回数こそ減りますが最前に入る気持ちは保てます。しかし疲れるということだけは確かです。そして無理をするとそのコスパ(自分の時間や体力とそのパフォーマンスの天秤という意)の悪さに冷静になってしまうことも確かです。

 

 なお、再発した癌のおかげで水腎症になり、今は入院しています。水腎症はステント留置でほぼ良くなりましたが来月からは次の抗がん剤治療が始まります。先述したオタクとしての疲弊と入院が現在の現場に被ったこともあり、担当にもさらに興味を示せなくなりつつあります。良い傾向ですね。主よ、癌だけでなくオタクという病からもお救いください……。

 

では、また会う日まで……ノシ

アイドルオタクががんになった話

 アイドルオタク、がんになりました。※厳密にはジャニーズJr.のオタクです


 コロナ禍に見舞われた2020年以降、世間では自宅での暮らしを豊かにしようと自分やその身の回りと向き合うことが流行している。数年前から「ていねいな暮らし」や「セルフケア」という語もよく聞くようになった。ていねいな暮らしの流行はそもそも、暮らす人=生活者が社会的なことに目を向けないようにする目眩しのようにも見えているので欺瞞だと思っている。が、本稿においては一旦置いておきたい。


 アイドルオタクはていねいに暮らすこと、セルフケアが苦手だ。いや、もちろん「そんなことはない。私の暮らしはていねいだ」と主張したい人もいるだろう。ただ、少なくとも私やその身の回りのオタクとされる人間は「暮らし」が苦手なのだ。これは、周辺のオタクたちが舞台に通うことを当然と考えていたり、ストーカー行為を働いたり、高額チケットを購入するために金策に走ったりと「オタクをするため」に多忙であり、自宅で過ごす時間が短いからと考えられる。自分と向き合う時間が短い上、自分と向き合うことが苦手なのだ。病気の予防なんてものにはあまり興味がないし、身体に良いものを食べることにも興味がない。そんなことより担当のこと、担当の現場のことを考えたい。その結果、病気に発症した後気付いてしまう、ことも多い。自分の体験として。


 前段はここまでとして、ここからは私自身の病気の話をしたい。私がかかっているのは子宮頸がんの中でも小細胞癌神経内分泌癌という希少性の高いがんだ。インターネットでは10万人に3人、とも言われている。子宮全摘出手術と抗がん剤放射線治療を予定している。手術は10日+後、治療はまだまだこれからだが、発見の経緯を書いておきたい。ジャニーズJr.のオタクの大多数を占めるすべての女性(特に病気と向き合う経験の少ない若年層)に関係のあることなので、参考になると嬉しい。特に、セルフケアが苦手であると自覚あるオタクの皆には。


 病院を受診したきっかけは、生理日でないタイミングでの不正出血と水のような下り物が止まらなかったから。最初の不正出血が起きたのは現場期間中、会場である帝国劇場でのことだった。冒頭で話したとおり私はジャニーズJr.のオタクだ。7 MEN 侍(セブンメンサムライ)というユニットの中に担当がいる。彼の出演する舞台を見るため2020年12月から2021年1月にかけて東京・有楽町の帝国劇場に足繁く通っていた。ここからは時系列で書き留めておく。


 2021年1月1日 元旦公演の開演前、帝国劇場のトイレにて出血。自身の生理予定日が数日後だったこともあり、生理が早まっただけかと思い放置。

 2021年1月3日 予定通り生理がきたため先の出血を放置。

 2021年1月13日 通常であれば終わるはずの生理が終わらず出血を繰り返す。舞台期間中だったため「毎日毎日担当の立ち位置の番号を探すことがストレスなんかもしれん」などと友人にLINE。重大さに気付いていない。

 2021年1月17日 全く出血が止まる気配がなく、病院を受診。内診台に上がってすぐ「がん検診を受けているか?」と聞かれた。わたしは2020年12月に検診を受け、異常なしだったことを報告。婦人科医に「本当に異常なしか?」と何度も聞かれ、もしかしたらまずいかもしれないと自覚ができる。

 2021年1月28日 幸か不幸か、舞台の千秋楽を迎えた翌日に先の検査結果が出たと電話をもらう。がんの疑いが高いため、至急大病院を受診せよ、とのこと。

 2021年2月1日 新宿区にある大きめの病院を受診。内診で見る限りだと「かなり悪い可能性がある」と告げられ、金曜日に家族を連れて説明を聞きにくるよう言われる。

 2021年2月5日 子宮頸がん小細胞癌神経内分泌癌と診断。がん細胞は4.5cm四方ほどの大きさ。治療できる病院が限られているため、大学病院を紹介される。

 2021年2月10日 東大病院を受診。進行の早いがんのため、早急に手術が必要として手術日程が決定。

 以後、術前検査など。


 この経緯の中で怖いのは、私は2020年12月に子宮頸がん検診を受けている、ということだ。現在会社員のため、年に一度健康診断の一環で婦人科検診を受診している。そこでは異常は見つからなかった。というのも、私がかかっている小細胞癌というのはオーソドックスな子宮頸がんである扁平上皮癌(7〜8割)、腺癌(2割)と比較し、見つかりにくい癌なのだという。見つかりにくい上、進行も早く、転移もしやすい。予後不良なケースが多い。


 ここで何が言いたいかというと、予防で防げるものではないが症状が出てからの受診では遅かったということだ。私は最初の出血の後、現場期間中だったこともあり、2週間ほど放置している。今思えば明らかに生理と異なる鮮血だった。


 繰り返しとなるが、アイドルオタクはしばしば自分のことよりアイドルを優先する。私もそうだった。その結果、子宮全摘出手術とその後の長期治療を余儀なくされている。子宮頸がんは、早期であれば子宮を全て取らない手術も可能という。自分自身をおざなりにしがちなオタクこそ、現場のないタイミングで検査をしてほしい、と思う。私は手術の後、数週間空けて再度入院し、抗がん剤治療を予定している。髪も抜け、副作用が強いため現場に行くような気力もしばらくはないだろう。治療後の私は好きなアイドルを応援することすら敵わなくなるのではないだろうか。今はそれが怖い。受け入れるしかないのだが。


 治療中も更新します。病気以外のことも書こうかな。